探偵の愚痴
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最初の探偵事務所
矛盾
訳のわからない
学校
学んだこと
運営ならず
閉鎖の日
新しい就職先
 探偵学校

仕事が入らないまま、探偵のノウハウを何一つ学ばないまま、いつの間にか1年がたっていた。
その間、調査会社の仕事は、ほぼポスティングだけで、お金になったものと言えば、社長の知り合いから頼まれた引っ越しの手伝いや、これまた社長の知り合いのツテから、コンパニオンたちの送迎を頼まれたくらいだ。

事務所を運営するまでの資金となっていないことは、間違いない。
さすがに、1年たって、事務所に収入がない、となると、ぼくの立場も悪くなるし、お給料をもらうのが申し訳なくなってくる。

もう、社長の言っていることを聞いておけない、と、浮気調査以外の調査を受けたり、調査料金を明確にしてホームページに掲載しないか、と、直談判してみたのだ。
けれど、想像していた通り、社長からの返答はNO。

そこで、ぼくはある提案をしてみた。
主婦向けの探偵学校、とまでは行かないが、せっかく綺麗な事務所があるのだから、浮気の見分け方とか、探偵事務所の見分け方とか、ちょっと興味がありそうな講座を開いてみたらどうか、と。

お茶を飲む感覚で、事務所にきてもらえたら、そして、その講座を受けた人には、調査に協力してもらうという条件で、浮気調査に限り料金を通常より安く相談に応じます、というもの。

内容が内容なだけに、申す訳ございませんが、男性はお断りいたします、というようなフレーズを冗談を交えた風に記載する。
この案が、なかなか受けたようで、実は2つほど、浮気調査を受けることになったのだけれど・・・。

1年かけて、他の探偵事務所の方法を調べたり、借りてきた電話帳の探偵のページを隅々まで調べたことで、人よりかなり詳しくなったこともある。
なんだか、探偵オタクになったような気分ではあるけれど。
主婦向けの講座として、そのことを話すとかなり受けたのだった。

“そんなの知らなかったー”なんて、目を輝かせて電話帳を見たりしていた。
それを教えてくれた、と、主婦たちはぼくに好意的に接してくれ、2つの調査も、どちらかと言えば、ちょっと一緒に見てほしい、という感じの調査だったので、ぼくにとっては非常に残念な調査だったのだけれど。

それでも、ようやく事務所に収入をもたらしてくれた彼女たちには、感謝、という言葉に尽きるのだけれど。




 
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